五味太郎・言葉図鑑 全10巻

五味太郎・言葉図鑑 全10巻

子供向けの本だけど、そこは五味太郎。ちょっぴりブラックなユーモアも取り混ぜている。
(ただし、これをブラックと思うのは所詮大人であって、子供は「イヤだなぁ」「面倒だなぁ」って思うんだろう(^^;))

この中に「かくれたことば」というのがあって、これが秀逸。
素直な子供なんざノイローゼになるんじゃないのか!?ってくらい、日本人の曖昧ニュアンスが沢山盛り込まれている。

最近、はてなもこれに近い「ひっかけ」が多い。
とはいえ、はてなは質問者が優位に立つべき場所である。
回答者は質問に対する回答というよりも、質問者が「求めている事」を察する必要に迫られる。

これは自分がしている仕事と同じだったりする。
特に前者の質問のようなパターンは経験することが多い。

特殊な業種のソフトウェアなんぞを手がけていると、法改正があったりする。
するとユーザから電話が来る。これはどーゆー事だ、説明をせえ、と。
業務に関わりのある事を回答すると(法改正だから正式なアナウンスがちゃんと存在するから、それをユーザビリティに手直しする)、「そんな事は調べりゃわかる。だが、納得できん。問い合わせろ」と来る。
特殊な業種サンだ。縄張り意識が強く、XX会(ヤクザじゃないけど)だのなんだのとソフト業者が入り込める場ではない。
そこを頭を下げ、お願いして、当然の如く蹴られる。
そもそも、ソフトウェア開発の立場が、業務内容や運用まで踏み込むのはご法度なのだ。(そんな事が明るみに出たら始末書どころではない)本来は利用者の協力を経て開発、運用に至るのだが、ユーザ同士の横つながりがなければ勝手に情報を流すわけにもいかない。
ユーザはそんな事分かってるのだ。
でも、納得したくないから、「同じ苦しみを受ける者」を求めている。
散々こちらを叩きつつ、こちらから仕入れた資料をユーザ同士でバラまく。
下手をすれば法改正後、数ヶ月間、そういったやりとりを迫られる。
そして、ようやく落ち着いた頃、結局一番最初に答えた以上の物は何も無い、と分かる満足するのだ。

またかよ、ちくしょう、と思いながら、ユーザのサポートをこなしていく。
本来意味の無い行為だ。最初から答えは提示されているのだから。
会社からはクレーマーの相手なんぞしているな、と冷たい。
だが、会社はそれで済むがフィールドはそうはいかない。
(最近は居留守を使いまくる営業もいるようだが)

だが、ユーザが求めているのは正しい答えや、オフィシャルのアナウンスだろうが、そんなことではないのだ。
相手がお国だろうがなんだろうが提供されている内容では「納得せず」「問い合わせ」「食い下がる」という行為を代替して欲しいのだ。
会社にとっては赤字であり、自分にとっても非常に面倒なユーザではあるが、
リアルに伝わる代替行為への満足度は非常に高かったらしく、大変評価された。
当然、自分にとってプラスになるわけではないのだが。
感謝されるというのは気分が悪い物ではない。

けど、どうせ感謝するなら、もう少し態度を上段に構えるのをやめないか?
…と思ったりもするのだが。
世の中の「先生」方にはそうした社会的マナーの辞書はないらしい。

はてなの質問者も、求めることが違ったらコメントで軌道修正すればいいだけで、
嫌味や相手を罵倒する必要なんざこれっぽっちもねえんじゃないだろうか。
勿論、運が悪い回答者に絡まれれば、どんなに下出に出て、そうじゃないんですよ、と言った所で無駄かもしれないが、そこはそれ、運が悪かったのだ。諦めるしかない。

それとも、ウンザリするような質問者の態度の中には自分のユーザみたいに実は感謝が隠されているのだろうか。