いや、冗談です。


次にビックリするのが変わり果てたゴッサムシティでしょう。
これまた、バットマンというタイトルがゴッサム市民オンリーのスピンアウトタイトルを輩出した事を例に出すまでもなく
ゴッサムそのものがバットマンの重要なファクターなのです。
3,4は実に見事にゴシックと、悪趣味の入り交じった原作まんまな街を描き出してくれたし、
ティム・バートン版はイヤー・ワンのような一種ノスタルジックなギャングの街でした。
設計に無理がある、しかもそれはバットマンワールドには不似合いな古典仏SFのような華奢なモノレールを見た時、
ツッコミの為にハリセンを探したファンが何人いる事でしょう。
まるで、ポリストーンコールドキャストで表現されてきたフィギュアが、いきなりエッチングパーツになっちゃったんです。
そりゃー目新しいさ。
でも、すんげー違和感ばりばり。
恐らく、どのバットマンファンも、バットマンブルース・ウェインが変わっても、ゴッサムだけは、と思ってるんじゃないでしょうか?
この変貌ぶりはファンじゃないか、実はビヨンドでも作りたかったんじゃないか?と疑いの目を向けるに充分すぎ。
きっと次作にロボットロビンとウェインJrが出るよ!(嘘)


更に驚きの連続。なんと、ブルース、両親と「ゾロ」を見に行きません。
これがまさしくこの映画の肝と言える大きな違いでしょう。
そう。
実はこのバットマン、ブルースと両親があの夜、ゾロを見に行かなかったら!?というELSE WORLDなのです。
その後のブルースの生い立ちや苦悩する姿も、ブルース・ウェインというよりも、
バットマンから巣立とうとしているディック・グレイソンにそっくりです。
あんなブルースだったら、この後驚異の少年と出会っても仲良くやっていくに違いありません。
ただ、クリスチャン・ベールは、ちゃんとディックからブルースに成長してくれます。
容姿だけですが。
つか、ブルースっていうより、ヤング・スーパーマン
いやいや。バットマンの容姿や性格は今更どうでもヨロシ。
ところで、クリスチャン・ベール・バットは「TRUST ME」を言ってくれます。
おおー。んまい。
どっかの小児科医に教えてやってくれ!


と、どうにもバットマンファンには苦しい話ばかり続くので、ファンなら「うほー!」と魔人ブゥ(純粋)のように叫んでしまう点も言って置かねばなりません。
その名は
ジーン・
バプティスト
エマニュエル・
ゾーグ!
ええ、あの失望しちゃったゾーグ社長ことゲイリー・オールドマンがやってくれました!
正直、ビギンズのキャスティングのダブルガッカリが、アルとゴードンでしたでしょ?でしょ?
とーこーろーが!
これが、ダニー・デビートのペンギンや、ジム・キャリーリドラーや、ユマ・サーマンのアイビーと引けを取らないくらいのナイスハマり役なんです。
もともと正義感はあれど、今一つのんべんだらりなゴードンさんを、目を疑うほど熱演してくれます。

ぶっちゃけ、この映画で「唯一」のバットマンキャラです。

一瞬だけ若き日のバーバラ?も出ます。(いや、若すぎるから)
もう、原作ファンの方は、彼だけでお腹いっぱいです。それ以外は見ないように(笑)


さてさて。次なる主要人物は、ラーズ・アル・グールです。

っていうか、なんというか
ラーズ・アル・グール率いる「影の軍団」(なんかこの訳、昔の時代劇っぽいな)はヒマラヤのてっぺんに陣取っているのですが、
リーアム・ニーソン演じる謎の人物に導かれてブルース・ウエインはここを訪れます。
はい、ここ、笑う場面です。
原作ファンなら、間違いなく「あ。そういうオチか!」って吹き出します。
だから、あれだけしつっこく「ケン・ワタナベ、バットマン映画で悪役に!」「渡辺兼演じるラーズ・アル・グール」って連呼してたんだ!
ラーズ・アル・グール知名度が高い本国では、このシーンどうだったんでしょう。
だめじゃん。バレバレすぎじゃん!もうちょっとなんとかしようよ!
ちなみに私、勧誘シーンでは気づきませんでしたが、渡辺兼とリーアム・ニーソンが並んだら、流石に吹き出しましたサ。

あー、ちょっとネタバレ気味ですね。
って、スチール見て既に気づいている方も多いか。

さてさて、ここでの修行シーンですが、あまりにもパチものっぽくて涙がちょちょ切れます。
フジヤマゲイシャです。
さらにまんまクワイ・ガン・ジンです。
イトクロウラーのようなお笑いで終わらせる事はできなかったんでしょうか?


さてさて、残る方々をおさらいします。
まずはスケアクロウ
見る前から思ってた通りの勿体なさ爆裂。
そもそも、お固くしたいんだったら、こんなキャラ持って来ちゃだめでしょ?
完全に選択ミスです。
山ほどヴィランは居るんだから、もちっと考えましょう。
このキャラは、ティム・バートンだったら面白く料理したかも。
ああ、ブギーさんも出てきたっけか(うぎゃー!うぞうぞしてるうううう!)
次にレイチェル

えーっと

そう!ホテルで馬鹿やってたブルースとすれ違った時、
ドナ・トロイのコスプレっぽかったですよ!(お星様イヤリングはないが)
顔は似てもにつかないけどさ。

バットマン第一作のキム・ベイジンガー並にキャラ薄いです。



さてさて、最後に、毎度おなじみ町山さんがパンフに寄稿されています。
乳首、股間も健在です。
ビギンズを見る前なのか、あるいは触れもしたくないのか。
是非ビギンズへの町山節が聞きたいです。
っていうか、ビギンズってツッコミしたくないくらい、面白味がないんだよねぇ…



自分としては、バットマン&ロビンで「終わったナ…」と思っていたモンでした。
ただ、あの作品はシュワルツネッガーの我が儘起用(キャラ、シナリオの改悪)で
いかにハリウッド的作品が悪趣味なのか、という事を示した、
莫大な金をつぎ込んだブラック・ジョークだったと思ってます。
(メルヘンとファンタジー抜きのティム・バートンですな)
バットマンとロビンのカップルがラズベリー受賞した事でも、立派に事を成しえたと思っています。
ある意味バットマンだからこそ、アリ、な。
ところがどうやら今度がホンマもんの「終わり」だったみたいです。
骨抜きにされた、中途半端なバットマンの終わりは「例のカード」です。
そう。
これで、初代バットマンへモドル、と。



一瞬だけ、おお、いいかも、と思ったシーンがありました。
バッタラン事バットラングを自作している姿です。
出来は失笑物ですが(ああ、確かにバットラングじゃねえよ、それ、って感じ)、
正直あのまんまでいけば、違ったバットマンができたのに。
ウェインテックに頼らず、手作りなジェームスボンドしたら
それこそバットマン・フロム・UKだったのでは?と。
旋盤バットラングと、バットモービルならぬタンクの不協和音。
これこそが、バットマン・ビギンズの失敗の元ではないでしょうか。

が、その背後にはトイザらスとかがひしめいているわけで。

結局、おもちゃメーカーから脱出できないコミックヒーロー物には
どうしようもなかったのかとそっと涙を拭くのでした。
クリストファー・ノーランといえば、傑作「メメント」の監督です。
金かかると、しょーもなくなっちゃう監督サンなのかもしれません。




今回の一番胸がドキドキ騒ぐ元気玉(やめれ)シーンは、
本編の前のファンタスティック・フォーでした。
私、あんまりファンタスティック・フォーって好きじゃないんですけども
(ハルクの例もあるし…)
あれはドキドキしますわ。うっひゃー!

って、それ、前回と同じオチ。

次は待ちに待ったSWかと思われます。