大人の見る目

question:1204769353

「小学生からメールをもらいました〜」といういわしに回答して、
ふっと昔の事を思い出した。
幼少時、自分は絵を描く事が得意で、それ以上に大好きだった。
そんな私(+しぶしぶ妹)に、母親はなにかとコンクールに応募してくれた。
小さいコンクールだけど、ほぼ毎年入賞をしていて、
上位の場合には賞状の他に何ぞ商品も貰った記憶がある。

そんな中、ある一年だけ賞を逃した事があった。
実は、その年だけ、父親に手伝ってもらったのだ。
一体、なんでそんな事になったのかはとんと記憶がない。
何しろ私は

「得意だろうが不得意だろうが自分でやる。
どうしてもやれなかったら堂々とやれないって言う」

が信条の、先生にとってはある意味イヤな生徒だったし、
そもそも、絵を描くのは好きなのだから。
入賞常連という事で、子供なりに自信もあっただろう。

それなのに、父親に手伝わせたのは、それが父親だったからだったんじゃないかと思う。
うちの家庭は、今では珍しい育児は母親、父親は仕事、という分業制だったからだ。
父親から褒めてもらったり、声をかけてもらったり、何か物を貰った事は、本当に稀である。
入賞を逃して「あーあ」という気持ちもあったが、
それよりも「お父さんが手伝ってくれた。絵の描き方を教えてくれた」記憶の方が鮮明である。
そして、父親がひどくがっかりしていた記憶も妙に鮮明だ。


今では笑い話だが、良い笑い話にできたのは、コンクールの担当者に眼力があったからだと思う。
もしも、あの時、私がいつもどおり入賞したり、あるいは上位の章を貰ったりしていたら、
「なんだ、やっぱり自分で描くより大人が描いた方がいいに決まってるよね」
と、感じたかもしれないからだ。
そして、確実にがっかりしただろう。
もしそうなっていたら、今の自分は何かが違っていたかもしれない。

子供を真の意味で教育するのは、親や学校ばかりではないと思う。
むしろ、親や教師のようにごく身近な存在よりも、
何の関連も利害関係もない大人が、どう子供に対して接するのか。
それはたった一つ、一度の事でも、影響は大きいんじゃないだろうか。

子供は育てるのじゃなくて、自ら育っていくのだと思う。
見、聞き、感じる、全ての物事から。
そう考えて、他所の子とも接しなきゃなー!(^^;)